ギターの指板の手入れ・掃除方法。

ギターの指板は、ギターのパーツで最も酷使される部分です。

ローズ指板やエボニー指板は黒っぽい茶色ですので、汚れはあまり目立ちません。

メイプル指板の場合はフレット周辺の汚れが結構目立ちます。

指板の汚れは、音やフィンガリングに影響を与えます。

また、指板の経年劣化を早めることにもなってしまします。

今回は、ギターの指板の手入れ・掃除方法について書いていこうと思います。

指板について

楽器に限った話ではありませんが、定期的なメンテナンスを行わないと、だんだん古ぼけてきます。

古ぼけてしまって愛情が薄れていくのか、愛情が薄れたから古ぼけてしまったのか、それは分かりませんが、ギタリストならば常に自分のギターのコンディションは保っておきましょう。

フレットや指板に、専用のオイルをかけて拭きます。

これを定期的に行うだけでも、指板の劣化はかなり抑えられます。

また、注意しなければならないのは、「乾燥対策」です。

メイプル指板の場合は、塗装されている事が多いためそれほど気にする必要はありませんがが、ローズウッド指板やエボニー指板などのオイルフィニッシュのものや、メイプル指板でもヴィンテージ感を出すために塗装を敢えて剥がしているものなどもあるため、注意が必要です。

ヴィンテージものは、長年使い込まれたようなアンティーク感がありますが、塗装を薄く仕上げて経年劣化を表現しているため、湿度の管理が必要なものもあります。

一般的に木製の楽器は、湿度が高いよりも低い方が保管に適していると言われますが、それでも過度に乾燥しているとひび割れなどを起こしてしまう可能性があります。

特に日本では、季節の変化によって湿度も変わってきますので、指板の乾燥には気をつかいましょう。

中でもローズウッドは乾燥しやすい材で、最悪の場合は指板の表面が割れてくる場合もあります。

指板はギターで最も使い込まれる部分ですので、しっとりとした滑らかな状態を常に保っておきましょう。

そこで、楽器メーカーが推奨している指板の手入れ方法について調べてみました。

基本的なメンテナンスの考え方は一緒ですが、楽器の手入れ方法については、各メーカーによって異なっていました。

ここからは、メーカー別に手入れの方法を紹介していきます。

Gibson

きつく絞った柔らかい布で水拭きをした後、乾拭きをします(布は古いTシャツやタオル、靴下などで良いです)。

頑固な汚れは、目の細かいスチールウールや歯ブラシ、爪楊枝、クレジットカードの端などで優しく擦り落としてください。表面が粗いものを使うと、傷付けてしまう事があるので注意してください。

材が乾燥している場合は、きちんと拭き取った後に四番コンディショナーや市販オイル(ミネラル、アーモンド、リンシード、レモンオイルなど)で保湿します。

これらコンディショナーやオイルは、1~2滴で十分です。

また、メンテナンスの頻度は、年に1~2回程度、半年に1度くらいで十分です。

Martin

水拭きとその後の乾拭きは、Gibsonと同じようです。

ただし、指板コンディショナーやオイルにレモンオイルを使わない事を推奨しているようです。

その理由は、レモンオイルに含まれている酸が、塗装を破壊してしまい、フレットと弦を腐食してしまうから、とされています。

Taylor

水拭きとその後の乾拭きは、GibsonやMartinと同じようです。

指板用オイルを柔らかい布や紙(キッチン・ペーパーでも可)に少量垂らして、それを指板に付けて10分放置した後に、丁寧に拭き取っていきます。

指板用にレモンオイルを使用することについては、少量であれば大丈夫、としているようです。

以前はけっこう一般的だったレモンオイルの使用ですが、これが腐食を早めてしまうというのは、近年になって言われてきたことです。

Suhr

レモンオイルの使用について、Suhr Guitarsの見解を見ていきます。

John Suhrは、レモンオイルを使う事で、指板の水分を奪っている事が判明したため、使用するのをやめた、と語っています。

Suhr Guitarsでは、現在はビッグベンズ・フレットボード・ジュースを推奨しています。

なお、オレンジオイルは、ホームセンター向けの商品で、ギターには使わない方が良いです。

まとめ

各メーカーのメンテナンス方法を参考にしてまとめてみると、指板はきつく絞った布で水拭きした後、頑固な汚れはスチールウール(#000や#0000)や歯ブラシなどで落とします。

そして指板の仕上げには、ビッグベンズ・フレットボード・ジュースを塗る、というのが汎用性のあるメンテナンス方法と言えそうです。

注意する点は以下の通りです。

  • 水拭きする時は、木目に沿って動かす。
  • スチールウールや歯ブラシも、木目に沿って動かす。
  • 塗布するビッグベンズ・フレットボード・ジュースは、少量で十分

指板を傷めてしまうと、当然引き心地が悪くなり、ギター本来のサウンドにも悪影響です。

また、ヒビが入ったり、割れてしまった場合の指板の貼り直しなど、時間とコストもかかってしまいます。

ギターのコンディションを最適に保つには、ネック周りの手入れが最重要になります。

汚れを綺麗に落として保湿をする、これが基本で、ギターの寿命を延ばすことにもつながります。

また、ボディ用のポリッシュは、くれぐれも指板には使用しないでください。

アコースティック・ギターの場合は、マスキングテープをしっかり施して、ボディに傷を付けないように十分注意してから行ってください。

ギターの指板の音名の効率の良い覚え方。

ギターとピアノの決定的な違いは、ギターにある指板です。

ピアノでは同じ音を同時に弾く事は出来ません。1つの鍵盤に割り当てられている音は、その鍵盤でなければ出せません。

ギターは、弦が異なれば、音程もオクターヴも全く同じ音を出す事が出来ます。

逆に言えば、このギターの特性が指板上の音を覚えづらくしています。

効率の良い覚え方を考えてみましょう。

指板について

ギターは、1フレットから21もしくは22フレットまでありますが、12フレット以降はオクターヴが違うだけです。12フレットはすべての弦に対して1オクターヴ上になっています。

そこで、開放弦から12フレットまでを覚えてしまえば、12フレット以降も簡単に当てはめられます。

まずは6弦から1弦までの開放、EADGBEを覚えましょう。

また、6弦と1弦は2オクターヴ違いがあります。

コードトーンで全体の音を把握

6弦と5弦は様々なコードでルート音となるため、頻出です。

最低6弦と5弦のフレット音は、すべて覚えておきましょう。

  • 6弦1フレットF、5弦1フレットB♭
  • 6弦3フレットG、5弦3フレットC
  • 6弦5フレットA、5弦5フレットD
  • 6弦7フレットB、5弦7フレットE
  • 6弦8フレットC、弦8フレットF
  • 6弦10フレットD、5弦10フレットG

4弦から1弦までは、コードの構成音として押弦されるケースがとても多いです。

次に、6弦をルート音としたメジャー・コードの構成音から、弦とフレットによる音程関係を考えてみましょう。

6弦1フレットをルートとして、4弦から1弦は以下のようになります。

  • 4弦3フレットの音は、1オクターブ上のF
  • 3弦2フレットの音は、3度のA
  • 2弦1フレットの音は、5度のC
  • 1弦は6弦と2オクターブ違いですので、Cとなります。

同様に、5弦1フレットとしてB♭を押弦した場合のメジャー・コードは、

  • 4弦3フレットの音は、5度のF
  • 3弦3フレットの音は、オクターブ上のB♭
  • 2弦3フレットの音は、3度のD
  • 1弦1フレットの音は、4弦3フレットの1オクターブ上ですのでFとなります。

これを10フレットまでそれぞれ検証していけば、おおよそのフレット音を把握する事が出来ると思います。

低音弦から覚えていくようにしましょう。

スケール練習で覚える

Cメジャー・スケールのパターンで、運指の練習と音名を覚えていきましょう。

  • 5弦3フレットを中指でC、5フレット小指でD
  • 4弦2フレットを人差し指でE、3フレットを中指でF、5フレットでG
  • 3弦2フレットを人差し指でA、4フレットでB、5フレットでC
  • 3弦2フレットを押さえていた人差し指を3弦5フレットまで移動します。
  • 3弦5フレットを人差し指でC、7フレット薬指でD
  • 2弦5フレットを人差し指でE、6フレット中指でF、8フレット小指でG
  • 1弦5フレットを人差し指でA、7フレット薬指でB、8フレット小指でC

これで2オクターヴを縦の動きで把握する事が出来ると思います。

自分が何の音を弾いているか理解しながら、何回も何回も弾く事で、運指の練習にもなります。

続いて、1弦8フレットを押弦した状態で、10フレットまでスライドさせます(D音になります)。

そして、Cメジャースケールを垂直に、6弦8フレット中指まで、CDEFGABCを降りてきます。

今度は上がっていきますが、途中からポジションが変えていきます。

6弦8フレットのCから、4弦10フレットのCまで、CDEFGABCを弾いて、4弦10フレットの小指を滑らせて、12フレットのレを弾きます。

  • 3弦9フレット人差し指E、10フレット中指F、12フレット小指G
  • 2弦10フレット人差し指A、12フレット薬指B、13フレット小指C
  • 1弦10フレット人差し指D、12フレット薬指E

ここまで来たら、今度は下がっていきます。

3弦9フレット人差し指Eまで来たら滑らせます。

  • 3弦7フレット人差し指D
  • 4弦10フレット小指C、9フレット薬指B、7フレット人差し指A

人差し指Aが5フレットまで下がって、Gを弾きます。

  • 5弦8フレット小指F、7フレット薬指E、5フレット人差し指D
  • 6弦8フレット薬指C

これで、おおよそのフレットが把握できたと思います。

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