ギターのチューニングの半音下げのやり方と効果とは?

ギターに限らず、楽器を演奏する上で最も重要かつ基本的なことは、しっかり正確なチューニング(調律)がなされていることです。

どんな音楽スタイルであっても、パンクやコアでも、チューニングは行われているはずです。

チューニングが合っていないと、他楽器とのアンサンブルは不可能ですし、楽器本来の持つ音を出すことも出来ません。

チューニングを外した音楽、音程が分からないほど潰れた音を使う音楽、というのもありますが、基本中の基本であるチューニングへの理解があるからこそです。

ギターのチューニングは、非常に多様な種類があり、レギュラー・チューニングに対して変則チューニングと呼ばれます。

今回は、その変則チューニングの中でも、主にロックで使用されることの多い半音下げチューニングについて解説していきたいと思います。

半音下げチューニングとは何?

一般的にギターのチューニングは、

  • 6弦 E(ミ)
  • 5弦 A(ラ)
  • 4弦 D(レ)
  • 3弦 G(ソ)
  • 2弦 B(シ)
  • 1弦 E(ミ)

以上のとおり音が当てられており、これをレギュラー・チューニングと言います。

このレギュラー・チューニングに対して、各弦を半音低くチューニングしたものが、半音下げチューニングと呼ばれているものです。

  • 6弦 E♭(ミ♭)
  • 5弦 A♭(ラ♭)
  • 4弦 D♭(レ♭)
  • 3弦 G♭(ソ♭)
  • 2弦 B♭(シ♭)
  • 1弦 E♭(ミ♭)

以上が半音下げチューニングになります。

半音下げチューニングのやり方

昔は、ギターのチューニングというと音叉を使って行っていました(現代のギタリストは見たことすらないかもしれませんが)。

今ではチューナーを使って行うのが一般的です。

またチューナーのアプリも無料で配布されていますので、自分にとって使いやすいものをダウンロードすることが出来ます。

それも以前はメーターや針で動くタイプでしたが、現代ではパネルに音名がデジタルで表示されますので、それに従って合わせていけば、かなり正確にチューニング可能です。

7セグなどのパネルで、#や♭の表示が出来ない機種の場合は、音名の横に.(ドット)を表示するなど、7セグでも表示可能な工夫がされていることが多いです。

チューナーは、メーカーや機種によって表記が異なるので、自分に見やすいものを予め確認しておきましょう。

通常のチューナーは、レギュラー・チューニングが標準になっていますが、半音下げを行う場合は、モードを切り替えておくか、自分で音の配列のとおりに弦を合わせていくかで対応します。

意外に知られていない半音下げチューニングにするメリット

ここまでチューニングの基本的な考え方と、半音下げチューニングについて解説してきました。

それでは、なぜレギュラー・チューニングがあるのに、わざわざ全ての弦を半音低く下げたチューニングを使う必要があるのでしょうか。

それはもちろん、レギュラー・チューニングっでは得られない効果があるからです。

以下それを紹介していきます。

①キーが半音下がる

ある楽曲をヴォーカリストが歌っている時、「キーが高くて歌えない」という時には、半音下げチューニングすることで、キーを下げることが出来ます。

ただし、半音下げ程度でヴォーカリストが対応可能なのか(全音以上下げる必要があるのか)、ヴォーカリストが確認する必要があります。

また、キーボーディストがいるバンドの場合、演奏が非常に困難になるでしょう。

②弦の張力が弱まる

ギターのチューニングで音程を上げ・下げするのは、弦の張力を強めたり緩めたりすることでコントロールしています。

半音下げチューニングでは、弦の張力はレギュラー・チューニングに比べて弱くなります。

初心者の方は、「弦が硬くてコードをしっかり押さえられない」と感じることが多いと思います。

半音下げチューニングにすれば、押さえづらいセーハ・コードも多少は押さえやすくなります。

コード・ヴォイシングで、全ての音がしっかり鳴っているか、まずは半音下げチューニングで練習していく、という方法もありです。

また、張力が弱まることで弦の振動が大きくなり、低音域が出やすくなるという特徴もあります。

レギュラー・チューニングよりも低音域が響くので、主にヘヴィなロックで良く使われています。

③特定のキーの曲が弾きやすくなる。

ギターという楽器では、弾きやすいキーと弾きにくいキーというのがあります。

具体的にはどのキーかというと、C/Am、G/Em、A/F#mなどは弾きやすく、E♭/Cm、A♭/Fmなどは弾きにくい、とされています。

その理由は、弾きやすい例として挙げたキーでは、開放弦がコード・トーンに含まれるケースが多くなるためです。

弾きにくいキーのダイアトニック・コードを考えてみると、ギターの特性上、セーハ・フォームを多用することになってしまいます。

セーハ・フォームとそのコード・チェンジに慣れることが出来れば対応出来ますが、それでも開放弦を含めたロー・コードが多い方が、演奏が楽なのは間違いありません。

キーがE♭mの楽曲であれば、半音下げチューニングにしてDmとして弾いた方が、演奏はかなり楽になるでしょう。

リード・プレイをする場合でも、半音下げてDmのスケールとして解釈すれば、スタンダードにD Dorianを使えば良い、ということがすぐに浮かぶはずですし、ギターのポジション・マークに沿うことができるはずです。

奥が深いギターのチューニングの世界

今回は、多くある変則チューニングの中でも、最もよく使われる半音下げチューニングについて解説してきました。

一言でまとめると、半音下げチューニングを初めとする各変則チューニングは、「演奏を楽にするための工夫」と言えます。

ギターのチューニングは、他楽器に比べて非常に簡単なので、このように多くのチューニングが生まれ、活用されるのかもしれません。

今回は紹介しきれませんでしたが、他に一般的なのは全音下げチューニング、ドロップDチューニング、各オープン・チューニング(すべて開放弦で鳴らすとメジャー・コードになる)などです。

他にもDADGADチューニングなど、ギタリストや楽曲特有のチューニングまであります。

普段とは異なる響きが得られ、インスピレーションを与えてくれるかもしれません。

色々なチューニングをぜひ試してみてください。

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