BOSS BC-1X Bass Compのレビューや設定方法・音作り等。

ベーシストにとって、必要最低限のエフェクターと言えば、コンプレッサーとイコライザーです。

ベース本体とアンプを直接繋ぐだけのセッティングをしているベーシストは、最近では珍しくなってきました。

2016年2月に、代表的エフェクターブランドのBossから発売された BC-1X Bass Comp。

ベーシスト専用の新しい定番コンプレッサーになるかもしれない、という事で、発売当初からかなり期待されていました。

今回は、Boss BC-1X Baa Compのレビューや設定方法・音作り等を書いていきます。

Boss BC-1X Bass Compのレビューや設定方法・音作り等。

1. 原音に忠実である。

まず、ベースとBoss BC-1Xを接続してアンプから音を出すと、原音をクリアかつ忠実に出力していると感じました。

Levelを上げていっても歪んだり、ノイズが乗ったりせず、ベースとアンプで作られるサウンドをそのまま持ち上げてくれているといった印象です。

だからと言ってコンプレッサーの効きが弱いわけではなく、自然な効き具合を演出しています。

コンプレッサーによっては、Levelが上がると音が潰れたり、コンプレッションが効き過ぎて原音の音質を変えてしまったり、という機種もありますが、BC-1Xは非常に滑らかです。

そして、何よりこのコンプレッサーは、マルチバンド・コンプレッサーです。

マルチバンド・コンプレッサーとは、一般的に低音域・中音域・高音域といった帯域ごとに、コンプレッサーをかけることが出来るものです。

つまり、低音域にはコンプレッサーをかけず、高音域は強めに、そして中音域は弱めといった設定が可能です。

マルチバンド・コンプレッサーは、演奏用というよりもミキシングの際によく使われるエフェクターで、非常に細かく設定できる反面、操作は大変難しくなります。

BC-1Xでは、周波数帯域をいくつかの帯域に分割して、それぞれに専用のコンプレッサーに受け持たせる事で、操作性を簡略化しています。

この機能により、どのような効果が得られるのかというと、ベースの高音域で音を伸ばしつつ低音弦を鳴らした場合、通常のコンプレッサーであれば、より大きく鳴っている低音弦の音に反応してしまい、最初に出した高音域の音量が不自然に下がってしまいます。

マルチバンド・コンプレッサーであれば、このような現象を除く事が出来ます。

このような手法を用いて、コンパクト・エフェクターでマルチバンドを再現するというのは、とても画期的ではないでしょうか。

これはBoss独自の技術であるMDP(Multi-Dimensional Processing)によるものです。

ベース本体から入力された音声信号を解析し、各要素に分析され、さらにそれぞれの要素に適したエフェクト処理を同時進行で行うもので、ノブを1つ回すだけでも内部では様々なパラメータが作動する仕組みになっています。

音声信号に対して敏感に反応し、各帯域に対して最適なコンプレッションを加えます。

ちなみに、Bossのエフェクターの機種名でX(エックス)が付く型番のものは、全てMDPが使用されています。

この大きさでマルチバンド・コンプレッサーを再現するというのは、さすがBossと言ったところですね。

レコーディングではなくバンド演奏で、マルチバンドまで詳細なサウンドメイクが必要か、と思うかもしれませんが、これを使いこなせると、音の良さの違いがはっきりと分かるくらい効果が現れますよ。

2. ツマミの操作が直感的に行える。

コンパクト・タイプのエフェクターにとって、操作が簡単であることは大事な条件です。

演奏しながら足でコントロールするのが基本なので、いくら複雑では使い勝手が良くありません。

BC-1Xは、その点を完全にクリアしていると言っても過言ではないでしょう。

それでは各コントロール・ノブの解説をしていきます。

  • Level 音量の調節を行います。
  • Release コンプレッションが効いている時間を設定します。
  • Ratio 原音に対して圧縮される音の比率を決定します。
  • Threshold コンプレッサーが稼働し始める音域を決定します。

マルチバンド・コンプレッサーなのですが、コントロール・ノブはこの4つしかありません。

通常のストンプ・タイプのコンプレッサーと同じ感覚で使うことが出来ます。

初めのうちは、どう設定して良いのか試行錯誤をする事になると思います。

BC-1Xを色々と設定したり、音作りを繰り返していく事で、自然に使い方が分かってくると思います。

実際に使う場合のコンセプト

それでは、主にどのような使い方が良いか、以下3つほど提案したいと思います。

もちろんこの使い方を参考にしていただき、自分なりの用途や音作りを行ってみてください。

1. 基本となる音作りの為に使用する

コンパクト・タイプのコンプレッサーでは、ポピュラーな用法です。

常にかけっぱなしにしておく、つまりコンプレッサーも基本的な自分のサウンドの一部と考えます。

まずはすべてのコントロール・ノブを12時の方向にセッティング(Ratioは10~11時くらいでも良いと思います。)して音を出してみましょう。

慣れてきたら、自分の好みのサウンドを追求して、色々といじっていくと良いと思います。

いくつか好みのセッティングが見つかったら、それをストックしておきましょう。

コンプレッサーは、音を圧縮してその密度を増す、という効果を狙ったものなので、劇的な変化を求めるのではなく、自分のベース・サウンドの基本的な底上げを図る目的です。

もちろん、楽曲やバンドのジャンルによってセッティングを変えて、その音楽にあったベース・サウンドを作る場合にも活用できます。

2. 曲中のソロで使用する

これは、楽曲の途中でOn/Offを切り替える、ある意味ブースターとして使う方法です。

あらかじめLevelを上げ気味の状態でセットしておき、普段はOffの状態で、ベース・ソロやベースを際立たせたい場面でOnにするという使い方です。

注意する点は、Levelを上げ過ぎて不自然な音量差が生じないようにする事です。

この使い方は、セッションなど、割とベース音を前に出せる状況では役に立つと思います。

3. スラップ等の特殊な奏法で使用する

スラップ奏法をする際、どうしてもアタックの粒がバラバラになってしまうことがあります。

特にスラップ奏法に慣れていない人であれば、力の加減をコントロールできず、苦労する点だと思います。

そんな時には、コンプレッサーをかまして、ある程度アタックの粒立ちを揃えることが出来ます(もちろん限界はありますが)。

コンプレッサーとしては、割と正当な使い方で、実際にファンクやクロスオーヴァーと言ったジャンルでは、ベースに強烈なコンプレッサーを効かせているケースもあります。

一般的なセッティングは、Releaseを7時の方向、Thresholdは1~2時で、Ratioを強め、という具合です。

やはり自分のプレイに合わせて微調整をしてみてください。

サムとプルのバランスが取れると、気持ち良いアタック感が得られると思います。

終わりに

コンプレッサーは、エフェクターの種類でいうとダイナミクス系に分類され、楽器本来のサウンドをより良いサウンドに仕上げるものです。

研究するほど、奥が深くて使い込めるエフェクターです。

今回紹介したBoss BC-1Xは、コンパクト・エフェクターとしては高額になりますが、非常に完成度の高いものだと感じました。

Boss独自技術のMDP搭載によるマルチバンド・コンプレッサーでもあることを考えると、高過ぎるとは思います。

是非楽器屋さんで試奏してみたり、動画サイトでレビューを見たりしていただきたいです。

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