ベースが上手い人の特徴とは?

ライブの演奏を見たり、デモ・テープを一聴するだけで、「このバンドのベーシストは上手い」とすぐに判断出来る場合があります。

「上手い」という言葉自体、曖昧なわけですが、決して速弾きが得意などという一面的なものではありません。

ですが、誰もが「上手い」と認めさせてしまうベーシストがいます。

そのようなベーシストたちにはいくつかの共通項がありますが、今回はそれを紹介します。

その共通項を目指して練習すれば、「上手い」と呼ばれるベーシストになれるかもしれません。

ベースが上手い人の特徴とは?

リズムがいい

ベースは、メロディ楽器でもありますが、どちらかというとリズム楽器として定義される場合が多いです。

特にロック、ダンス系の音楽では、リズム楽器として扱われます。

ベーシストのリズム感が悪いと、カッコ良いフレーズを弾いても、何となくカッコ良く聴こえません。

そもそもバンド全体のリズムが、カッコ良いとは言えないものになってしまうでしょう。

リズム感が安定しており、バンド全体を引っ張って行くようなベースは、やはり上手いと感じるものです。

余談ですが、この「リズムの良さ」は、ベースに限らず、音楽をやる上で、そしてどの楽器であっても重要な要素です。

「ギター、ボーカルはメロディ重視だから、リズムの練習なんかしない」というような人は、そもそも音楽を根本的に理解していない、と思って間違いありません。

ダイナミクスがある

フレーズにアタックの強弱がない、もしくは間違えていると、カッコ良いフレーズやリズムでも、カッコ悪く聴こえてしまいます。

プロのフレーズをコピーしてみたのに、何となく違う、というのはこのダイナミクスの付け方が違うためです。

ベースとドラムは、楽曲全体のダイナミクスを付ける上で、非常に重要な役割を持っていると言えます。

大きな音と小さな音の音量差、アタックの強弱など、全体リズムの基礎的なうねりを作り出します。

上手なベーシストは、小さな音のコントロールが絶妙です。

大きな音は誰でも出せるものですが、小さな音を出せて、最大音との差を活かせるベーシストを目指してください。

休符をちゃんと「弾いて」いる

リズムを正確に弾く上で最も重要なのは、「休符をしっかりと弾く」ことです。

主にアタマ拍中心の8ビートばかりをやっていると、この休符を弾くことの重要性を認識しづらいです。

しかし、モータウン系やファンクなどのジャンルを聴くと、ベーシストはもちろん、バンド・サウンド全体で休符をしっかりと弾いており、非常にカッコ良いサウンドになっています。

休符を、単に「その休符の長さ分だけ休む」と捉えていると、カッコ良いリズム感を出すことはできません。

おかしな表現ですが、「休符を弾く」と言ったりします。

実音を出すわけではなく、休符の箇所も体でしっかりリズムを感じておくことです。

具体的には、ドラマーがよく使う「ゴースト・ノート」が分かりやすいかもしれません。

リズムをキープしつつノリを出すため、聴こえるか聴こえないかくらいの細かで小さな音を鳴らしながら叩きます。

ギタリストであれば、ブラッシング・ミュートの強弱で同様の表現を行うケースがありますので、これらを参考に、ベース・プレイに取り入れてみましょう。

ベースと上半身の位置・角度が一定

上手いベーシストは、上半身とベースの位置および角度が常に一定です。

ステージ上で派手に動いていても、この位置関係は変わりません。

ネックと上半身の角度が激しく変化してしまう人は、この事にも気を付けてみてください。

海外のプレーヤーなど、一見全く理に叶っていないようなフォームだったりしますが、自分にとって最も弾きやすい、高いパフォーマンスを出せるフォームにたどり着いているのです。

運指に無駄がない

指だけでなく、体全体も含めて、無駄な動きがあればそれだけ無駄な力がかかり、滑らかな運指は望めません。

これは先程のフォームの話と同じで、フィジカルなテーマです。

上手いと言われるベーシストのプレイを何度も見て、研究してみましょう。

力が抜けてスムーズな運指は、見ていても非常に美しい動きです。

上記全てが当てはまった上にアピールできる技がある

ここまで紹介してきた内容が全て当てはまれば、そのベーシストは誰が見ても「上手い」と言われるはずです。

さらに上を目指す、というよりもその上に個性を乗せられるのが一流、プロと言われるベーシストだと思います。

その人ならではのワンポイント技(ベース・テクニックも含めて、見せ方、音の使い方など)があれば、そのベーシストの代名詞にもなり得るでしょう。

例えば、9mm Parabellum Bulletの中村和彦氏は、楽曲がギター・ソロに入った瞬間にベースを投げ捨てて、シンバルを叩きまくるようなパフォーマンスをするのです。

それは当然、彼がしっかりとした技術を持ってサウンドに貢献するベーシストであり、さらにパフォーマンスでもオーディエンスにあっと思わせる発想を入れているわけです。

ベースのミュート奏法のやり方と練習の仕方。

リズムの練習をしていると、よく「休符を弾く」と言う表現に当たります。

「休符を弾く」そのための必要なテクニックの一つが、弦をミュートすることです。

今回はそのミュートについて説明します。

ミュートとは

ミュートとは、基本的には弾こうとしている弦以外の弦がならないように、押弦している指以外の指で軽くその弦に触れるテクニックです。

また、鳴らしている音を意図的に途中で切ることも、ミュートと呼ばれています。

地味で細かな技術ですので、正直行ってミュートを気にせずにどんどん弾いているプレーヤーはアマチュアに多いです。

しかし、こういった繊細なところにまで気をつかうことが、カッコ良く上手いプレイに繋がります。

ミュートのやり方

ミュートには、弦を押さえる方の手(右利きであれば左手)で行う方法と、弦を弾く方の手(右利きであれば右手)で行う方法の2つがあります。

・弦を押さえる方の手でやる方法(右利きの場合左手)

指で引く場合や、スラップ奏法の場合は、こちらのやり方がメインとなります。

基本的には、押弦している指以外の指で、ミュートしたい弦に軽く触れることで、弦の振動を止める方法です。

当然どの指で行うかは、その時のフレーズやその後の運指によりますので、どの指でも出来るようにしておきましょう。

開放弦の振動を止める時には、弦を押さえている手全体で、弦の全てを軽く押さえます。

注意点は、ハーモニクス・ポイントを不用意に押さえないことです。

5フレット、7フレット、12フレットあたりを軽く押さえてしまうと、フレット・ハーモニクス音が出てしまい、ミュートの効果がなくなってしまいます。

このポジションのフレットの真上でのミュートは避けましょう。

・弦を押さえる方の手でやる方法(右利きの場合右手)

指弾きの場合は、クラシック・ギターでよく使用される、アポヤンド奏法があります。

エレクトリック・ギターやエレクトリック・ベースでは、あまり一般的ではない奏法です。

例えば、人差し指で1弦を弾いた場合、人差し指は2弦で止めて、中指で1弦に触れて、2弦の音を鳴らないようにする奏法です。

これが自由自在に出来るようになると、かなり綺麗に、必要のない音は出ないミュートが可能になります。

ファンクなど、ベースのサウンドが重要な楽曲では必須のテクニックと言えるでしょう。

他に、手のひら全体で弦の振動を止めてしまう方法もあります。

この方法では、間違って他の弦を複数鳴らしてしまった時などに有効な方法です。

ピック弾きの場合は、ピックを持っている手の側面などで弦をミュートします。

・ミュートしながら弾く

弦をミュートしながら、あるいはハーフ・ミュートで弾くと、音の伸びが抑えられた独特のリズム感を出すことができます。

この奏法は、ピック弾きの方が簡単です。

ピックを持つ手の側面で、弾いている弦を押さえて、そのままピッキングすることでミュート音を出すことができます。

しかし、指弾きの場合は、この奏法は親指だけで弾く時(親指をピックに見立てて弾く)以外はできません、

指弾きでミュートしながら弾く方法は、押弦している指の外側(人差し指で押弦しているのであれば中指、薬指、小指)(中指で押弦しているのであれば薬指、小指)で、弦に軽く触れた状態で弦を弾く事でミュートしながら弾くことができます。

しかしこの方法は、少々難易度が高めです。

音を伸ばす事も重要

繰り返しになりますが、楽器を演奏する上で、「音を伸ばす」「音を切る」という技術は必須です。

ミュートを覚えると同時に、しっかりと音を伸ばすことも出来るように練習してください。

音を伸ばす場合でも、ただダラっと伸ばすのではなく、どのくらいの長さ音を伸ばすのかをしっかり考え、その長さに到達した時に音を切りましょう。

ただ雰囲気で音を伸ばす、切るを行っていると、楽曲全体の締まりも悪くなります。

ベースのバンドにおける必要性・役割とは?

昔、バンド・ブームがあった頃(いつからかは分かりませんが)、「ジャンケンで 負けた私は ベーシスト」という川柳がありました。

これは、友達とバンドを組もうとすると、みんなギタリストやボーカリスト希望で、ベーシストを希望する人が少なく、みんなでジャンケンを行い、負けた人がベースを担当する、という、どのバンドでもあるような状況を揶揄したものです。

ベースのパブリック・イメージは、立ち位置も弾いているサウンドも地味、だったからかもしれません。

世界的に有名なベーシストの一人、The BeatlesのPaul McCartneyは、元々ギタリストでしたが、前任のベーシストのStuart Sutcliffe(ビートル・マニアでは有名ですが)が抜けたため、ベースを弾くようになりました。

これについて、「Paulがベースを弾きたいから、前任者をいじめて追い出した」という噂にが広まった時期がありました。

その噂について、Paulは「僕らの世代だと、ベーシストは髭を生やしパイプを咥えている地味な人、というイメージが強かったので、追い出してまでやりたいものではなかった」と語っています。

このように、1960年代から1980年代前半までロック・バンドにおけるベースは、ギターに比べて重要視されず、Jack BruceやJohn Entwistle等、リード・プレイを特徴とする一部のプレイヤ-以外は地味な存在でした。

ロックでは、ベースが、ギターやボーカルに比べて単純な音やテクニックになるのは確かに事実ですが、単純にそれが「カッコ良い」という表面的な理解になったのだと考えられます。

単純であるから「カッコ悪い」「音楽的に未熟」ということにはなりません。

むしろこの単純なフレーズをどう表現するか、個性につながるものです。

また、ジャズやファンク、フュージョンではベースの存在は大きいのですが、そういったリズム重視でトータル・サウンドの音楽です。

メロディのみ、はっきり言ってバンドは形だけで、単に歌を聴くだけの日本では、注目されませんでした。

しかし、その後の世代では、海外の多様な音楽が広く流通するようにつれ、リズムに対して重要性を理解している人が増えたように思います。

現在では、ベースに対してネガティブなイメージを持つ人が減り、特に音楽をやっている人や聴き込んでいる人であればベースがいかに重要か理解しています。

今回は、ベースの必要性を役割について改めて考えてみたいと思います。

バンドにおけるベースの必要性

音楽において、ベースは必ずしも必要な楽器ではありません。

かの有名なプリンスの楽曲でもベースがない曲は結構多いです。

そして、それはロック・バンドにおいても同じです(ここでいうロック・バンドとはドラムがいるバンドと定義します)。

ボーカル+ギター+オルガン+ドラムの編成のThe Doors、ギター&ヴォーカル+ドラムの2ピース・バンドのThe White Stripes、Blood Red Shoes等ベースのいないバンドも数多くあります。

また、Jimi Hendrixの有名なブルース・ナンバー「Red Boots」は、ベース・パートはギターの低音弦を弾いているだけでベースは弾いていません。

「ベースがいないと音が軽くなる」と言う人もいますが、これらの音を聴けばそうは思わないと思います。

ただし、ベースがいない場合は、本来ベースが担うはずの低音を別の楽器で出しています。

つまり「ドラムが存在するバンドにおいて、ベースという楽器は必要性は必ずしもないが、ベースが担う低音パートは必要性がある」という事が出来ます。

もちろん、楽曲によってわざとそういった低音パートをなくす事はありますし、ギター1本の弾き語りではコード・ルートもギターの5、6弦が担当します。

ただし、このことはギターにも言える事で、ロック・バンドにギタ-は必ずしも必要ありません。

古いところではArthur Brownや、Emerson, Lake & Palmerなど、ギター・レスのロックバンドも多く存在します。

こういったバンドでは、ギターの代わりにシンセサイザーを使用する事が多いです。

ギターは、低域から高域までの広い範囲ですので、ギターでなくてもカバーすることは可能なのです。

こう考えると、バンドで目立つ存在のギターも、実はなくても成立してしまうことに気が付きます。

バンドにおけるベースの役割

では、ベースが担う低音パートは、どんな役割を果たしているのかというと、それはリズムになります。

例えば、EDMなどのダンス・ミュージックでは、かなり低音パートが強調されていることが分かると思います。

それはどうしてかというと、低音が強調されたサウンドは、体にリズムを感じさせやすいのです。

さらに、同じような役割を果たしているのが、ドラムのキック(バス・ドラム)です。

このコンビネーションで、より複雑で面白いリズムを作ったり、逆に合わせることでシンプルかつ強力なリズムを作り、踊りやすくしたりすることが出来ます。

また、ベースはメロディを奏でることもできる楽器です。

ギターと一緒に演奏する場合、ギターと同じフレーズを弾いてそのフレーズを強調したり、対位法を使ってカウンター・メロディを弾いて広がりを持たせたり、あるいはコードのルートを別の音を弾く事によって雰囲気をカラフルにする、その他にも様々ありますが、曲をより演出する事も可能なのです。

こうした事から、ベースは楽曲全体の中で、リズムとメロディを繋ぐ楽器、と言えます。

バンドにおけるベースの役割は、まさに屋台骨だと言えるでしょう。