ギターのクリーン・トーンの音作りのコツ。

エレクトリック・ギターのサウンドは、大雑把に分けて2種類あります。

ロック独特の歪みを効かせたドライブ・サウンドと、その歪みのないギターそのもののクリーン・トーンです。

この2種類の音をしっかり作ることが、サウンドメイクの基本になるのです。

ロック・ギターというと、どうしても歪んだ迫力のあるサウンドに行きがちですが、美しく澄んだクリーン・トーンも魅力の一つです。

今回は、ギターのクリーン・トーンについて詳しく書いていきます。

クリーン・トーンについて

激しく歪んだトーンによるリフやギター・ソロも確かにカッコ良いですし、「良い音」と言えるのですが、クリーン・トーンによるアルペジオやストロークによるアプローチが出来ると、楽曲の幅がさらに広がります。

よくあるパターンは、クリーン・トーンのギターがボーカルの後ろでカッティングやアルペジオ、全音のフレーズを弾き、リード・ギターパートではドライブ・サウンドで音を前に出して弾くというケースです。

ポップスや単純なロックなどではよくあるパターンです。

多くのギタリストはこの2種類のサウンドを切り替えて使うため、エフェクターを用意するのが最も効率的で、音色の種類も増えます。

しかし、アンプ1台のみでクリーン・トーンからドライブ・サウンドに切り替える場合は、少々手間がかかります。

アンプにクリーン・チャンネルとドライブ・チャンネルがある場合は、足元にチャンネル切替え用のフット・スイッチを用意しておくのが良いですが、チャンネルが1つしかないアンプは、フット・スイッチの意味がありません。

古いMarshallのように、単純にアンプのゲインを下げて作るクリーン・トーンでは、バンドのアンサンブルの中で、ベースやドラムの音にかき消されてしまいます。

特にドラムのシンバル類の音にかき消されやすいと言えます。

アンプ・セッティング

まずはアンプのゲインを12時の位置あたりまで上げて、クランチ・サウンドを目指しましょう。

特に真空管アンプは、ここまで上げていかないとアンプ本来の音圧が得られないことが多いです。

手持ちのギターがハムバッカーで、歪み過ぎてしまう場合は、アンプでゲインを落とすことで歪みを下げてください。

次に、3バンド・イコライザーのセッティングも重要になります。

ここは、使用するギター、どのようなサウンドを作りたいかによって変わってきますので、乱暴に言ってしまうと基本はありません。

通常は、ベース、ミドル、トレブルについては全て右へ回し切って、そこから出過ぎていると感じる帯域を削っていく、という方法になります。

クリーン・ブースター

クリーン・トーンは、ドライブ・トーンから切り替えた時に、どうしても音量が下がってしまったり、音圧がなくて細く感じられてしまいます。

そのような場合、アンプのクランチ・サウンドに、クリーン・ブースターを使用するというセッティングにすると良い結果が得られます。

アンプ側の設定では、歪んでいるのか、いないのかの微妙な辺りを狙うので、細かくセッティングしていきましょう。

そしてブースターを書けるわけですが、クリーン系ブースターとして人気のExoticの「RC Booster」や、「EP Booster」がおすすめです。クリーン・トーンでの温かさ太さが小音量でも変わってきます。

クリーン・ブースターをかけると、ギターの音が太くなり、ドライブ・トーンに切り替えても違和感のない存在感の太さが出てきます。

この状態で、ギター側のボリュームを少し絞ると、美しいクリーン・トーンが出来上がります。

ライブなどでリアル・タイムにコントロールしたい場合は、ヴォリューム・ペダルを使って足元でコントロールするようにしましょう。

単純にアンプのクリーン・チャンネルから出力するより、上記で説明したようにクリーン・ブースターを使った方が、良い結果が得られると思います。

また、繊細なピッキングにも反応してくれ、アタックの粒立ちも良く、密度の濃いクリーン・トーンになります。

ブースターを使えば、アンプがJC-120のようなトランジスタ・アンプであっても、真空管アンプのような太く温かみのあるサウンドを出すことが出来ます。

プロ・ミュージシャンの動画を見ると、頻繁に細かくギターのボリュームをいじっているのが見られますので、ぜひ動画などでチェックしてみてください。

プロは、演奏にだけ集中しているのではなく、ギターの音量や音色まで、全般的に気を配っていることが確認出来ます。

このサウンドに、フィルター系のエフェクターのコーラスや、空間系のエフェクターのディレイ、リバーブをかけると、表面だけのエフェクトではなく、音に奥行きが出て非常に良い感じになります。

クリーン・ブースターでなくても、アンプ・ライクなオーバードライブ・エフェクターやプリアンプでも、太くて音圧のあるクリーン・トーンを作ることができます。

その場合には、ギターのボリュームに敏感なタイプのオーバードライブを選択してください。

コンプレッサーを使う

ここまで解説してきた一方、太いクリーン・トーンのデメリットとして、ミス・タッチやミス・トーンがはっきり分かってしまう点があります。

もちろん技術力が高ければ、繊細な演奏もはっきり表現することが出来るので、プレイヤーにとっては必ずしもデメリットではありません。

また、強く弾くと思わず大きな音が出てしまったり、逆に思っていたより小さな音になってしまう事もあるかもしれません。

このような問題を解決するためには、コンプレッサーを導入する事をお勧めします。

どうしてもバラついてしまうアタックを整えるだけでなく、サステインも自然な伸びを得られますので、さらに音の質の工場が望めます。

むしろ、クリーン・トーン主体でギターを弾いている場合は、コンプレッサーは必須のエフェクターと言えるでしょう。

ただし、コンプレッサーをかけ過ぎてしまうと、音抜けが悪くなったりハウリングの要因になったりしますので、注意が必要です。

ピッキングにも気を付ける

クリーン・トーンで演奏する場合、ピッキングが強過ぎるとあまり綺麗なトーンを出せないだけでなく、サステインも伸びなくなってしまいます。

歪ませた状態では音量も十分、ピッキング・ニュアンスは潰れてしまうのですが、クリーン・トーンはアコースティック・ギターのように、弾き手の技術力が剥き出しになります。

コンプレッサーをかけてもイマイチ効いていない、と感じる場合は、大抵自身のピッキングの技術に問題があるケースがほとんどです。

ギター・サウンドを作る基本がクリーン・トーンと言えるでしょう。

ドライブ・サウンドも、クリーン・トーンの音量、音質、音圧を基本として作っていくことになりますので、しっかりと「自分の音」と言えるクリーン・トーンを出せるようになりましょう。

エフェクターは全てオフ、イコライザーはフラットな状態から始めてください。できればアンプの真正面に耳を持ってきてください。

少し話はズレますが、スピーカーの指向性により、アンプの横で聞いているサウンドと真正面のサウンドは異なります。

クリーン・トーンを美しくに弾くためには、微妙な力加減をコントロールしてピッキングする必要があります。

聴覚的にもアタックの音が少ない方が音が伸びて聴こえます。

ウォームな、歯切れのいい、歌のバッキングに合う…、様々なセッティングを見つけてプレイの幅を広げていきましょう。

無意味に力強いピッキングはしないよう心がけて下さい。

関連記事

▶︎ギターの音作りの基礎やコツとは?

▶︎クランチの音作りのコツとは?

▶︎メタルの歪みの音作りのコツとは?