ギターのカッティングのピックはどんな形や硬さがやりやすい?

ピックの記事というと、割と多いのがギター・ソロに向いたピックの紹介、というものです。

ギタリストの花形はギター・ソロ、という認識が広がっているからかもしれません。

カッティングに向いたピックは?という記事は余り見かけませんね。

そこで今回は、独断と偏見で「カッティングに向いているピック」はどんなピックなのかを書いていきます。

ギターのカッティングのピックはどんな形や硬さがやりやすい?

そもそもカッティングとは?

まずは、「カッティング」プレイについて考えてみます。

ソロやアルペジオであれば明確にイメージが浮かびますが、カッティングと似た用語で、バッキングやブラッシング、があります。

カッティングという用語について、明確に基準があるわけでもなく、海外のミュージシャンに通じる言葉でもありません。

一般的な認識としては、「実音とミュート音を一定のリズムに乗せて、パターン化してストロークすること」でしょうか。

ちなみに、ブラッシングとは「ミュート音をパーカッシブに鳴らす」奏法で、バッキングとは「歌の伴奏(技法ではない)」と言った意味で使われているようです。

ここでは、カッティングを下記のように定義してみます。

1.ロック系カッティング

6本の弦全てでコードを弾くのですが、かき鳴らすのでは無く、リズムや他のサウンドを考慮しながら適度に音を切ったり伸ばしたりします。

スピード感、そして攻撃的な音が特徴です。

2.ファンク系カッティング

基本的には16分音符で、1~3弦を中心に、7thや9thを挟みながら省略形コードを弾きます。

時折単音を入れたり、フィルでアーティキュレーションを効かせたりします。

ロック系カッティングとファンク系カッティングでは、弾き方がかなり違うので(もちろん一方を習得している方が、もう一方を覚えるのに有利ではあります)、それぞれに適しているピックを考えていきます。

ロック系カッティングに向いたピック

英国では主にパブロック、もう少し幅広くガレージ・ロックに代表されるロック系カッティングは、基本的には6本の弦全てを弾くことになります。

ロック系カッティングでは、全ての弦をしっかりとアップ/ダウン・ストロークし、右手(ピックを使う手)と一体化したリズムを刻む必要があります。

そのためには、「オニギリ型」のような、正三角形に近い型のピックが合うと思われます。

また、激しいストロークとピッキングが多いので、ピックもすぐに削れてしまいます。

これは余談になりますが、「オニギリ型」であれば、3つの角を使うことが出来ますので、とても経済的です。

「ティアドロップ型」ではピッキングの角と握っている指との間が離れていますので、ズレてしまったり、指から落ちたりしやすくなります。

ピックの硬さについては、先に挙げたように強めにピッキングする事が多いので、柔らかいとギタリスト本人の力をそのまま伝達するのが難しいです。

ですので、硬さはHeavyやExtra Heavyが良いかと思います。

(※アタックは強めなのですが握り方は優しく握ります。腕の振りも力を入れるのではなく、鞭のようにしなやかに振ることになります。

握りも強くしてしまうと弦に引っかかってしまい、キレのあるカッティングにならないので、ピックの持つ位置や握り方などはファンク系と共通するものがあります。)

個人的な結論をまとめると、「ロック系カッティングに向いているピックは、オニギリ型でHeavyかExtra Heavy」となります。

もちろん、私の結論とは異なるピックを使っている方も、プロ・アマ問わず多くいます。

個人差や好みも大きいですので、参考程度に留めておいてください。

ちなみに、マシンガン・カッティングとも言われるDr. FeelgoodのギタリストであるWilco Johnsonは、何とフィンガー・ピッキングで信じられないような硬質なアタックを刻んでいます。

また、柔らかくても材質によっては、削れにくいピックもあります。

例えばUletm(ウルテム)という材質は、本べっ甲に近い素材とされているのですが、セルロイドと比較すると削れにくいように感じました。

ピックの材質によって音の立ち上がりや、音色も変わってきますので、形や硬さ以外に色々な材質を試してみてください。

ファンク系カッティングに向いたピック

ファンク系カッティングでは、主に1~3弦、つまりプレーン弦を中心に弾きます。

リズム・プレイが中心ということを考えると、ロック系カッティングのように「オニギリ型」

が適しているように思われますが、単音を多めに弾く場合もあったり、ロック系カッティングよりも細かな動きが求められます。

また、音の立ち上がりの鋭さを重視する場合は、先端の尖っている方が有利ですので、「ティアドロップ型」が候補になってくると思います。

ピックの硬さは、Mediumが適しているでしょう。

Mediumは、普段Heavy以上の硬さのピックを使っている方は特に感じますが、しなり感があるので、音の立ち上がりが早く、指の動きに直結したプレイが可能になります。

反面、パワーやスピード感という面では、Heavy以上の方が良いかもしれません。

ピックは、力を入れていると削れやすいですが、リズミックなカッティングは力を抜いてやるのが鉄則なので、削れなくなるように練習しましょう。

具体的なピックですが、上記にも記載したUltemの「ティアドロップ型」であるClayton(クレイトン)/Ultem US/0.72あたりがオススメです。

ただし、やはりピックについては、最終的に人それぞれ、自分のピッキングにどれだけマッチするかです。

硬い「オニギリ型」で、ファンキーかつグルーヴィーなカッティングを見せるギタリストも多くいます。

自分のピッキングと、出したいサウンドを考慮して選ぶのが一番ですが、一般的な分類で書いてみましたので参考にしてください。

結局どんなピックがいいのか

現代の音楽は、多種多様なジャンルに広がっていますし、その中でも色々な音楽スタイルを混ぜた楽曲が多いので、全体的に幅広く対応できるものを選択するのが良いと思います。

ピックも本当に色々な形や材質のピックを買って試してみてください。

良い音を出せるけれど弾きにくい、またはその逆で音は良くないけれど弾きやすい、カッティングはしづらいが単音は出しやすいなど、多くのことを感じると思います。

アンプを通さないエレクトリック・ギターの生音でも、結構音の違いは明確なので、聴き比べてみてください。

個人的な話ですが、自分は握っているピックがよく滑ったので、アコースティック・ギターでフィンガー・ピッキングを行うためのサム・ピックを使っていたことがあります。

サム・ピックを使っていた時は、握りを気にすることなく、カッティングのリズム感をストレートに弦に当てられていたように思います。

ですが、現在は通常の弾き方に戻してしまいましたので、今サム・ピックでカッティングを行うのはかなり弾きにくく感じます。

自分の技術力によって、使いやすいピックも変わってくるものかもしれません。

違和感を感じながら弾いているのであれば、思い切って違うピックを試してみるのも良いでしょう。

レコーディング等、別々にギターパートを録音する場合は、カッティング向き、ソロはソロ向きのピックを使い分けてみるのも良いのではないかと思います。

番外編・ピックを使わない

思い切った方法ですが、ピックを使わずにエレクトリック・ギターを弾く方法もあります。

最も有名なところでJeff Beckなどは、もうかなりの間、指弾きを続けています。

指の方が細いニュアンスを弦に伝えられる、というのが彼の考えのようです。

Jeff Beck以外にも、多くのギタリストが指弾きを行っています(どちらも使うギタリストもいます)。

親指と人差し指を交互に使う人や、カッティングは人差し指の爪で行う人、5本全ての指を使って弾く人など、弾き方は本当に人それぞれです。

指弾きはピックに比べてダイナミクスが大きくとれ、音のトーンも自由に変更出来るという反面、リズミカルでジャストなプレイは難しく、かなり個性が出ます。

指による音の強弱やリズム感を上手くコントロールするには、相当の練習が必要になるでしょう。

ギターのピックの持ち方でズレる原因と対策

ピックでギターを弾いていると、時々握っている指でピックの位置がズレたり、回ったり、最悪落としてしまう事もあります。

ピック弾きに慣れている人であれば、弾きながら直したり、弾いている最中で微調整をすることが出来るようになりますが、ズレないに越したことはないです。

ここでは、ギターを弾いている時にピックの握りがズレてしまう原因と、その対策方法について考えていきます。

・ピック位置がズレる理由

ギターを弾いている時に、ピックがズレてしまう理由はいくつか考えられます。

例えば、指に力が入り過ぎてしまい、ピックを強く握っていると汗をかいてしまい、その汗で滑ってしまいます。

また、弦に対して深くピッキングし過ぎると、ピックが弦に引っかかってしまい、ピックが回ったり、あるいは指から離れてしまいます。

その他、ピックの向いている方向や角度なども影響してきます。

では、ピックがズレないようにするには、どのような対策を取るのが良いのか、物理的な麺と技術的な面の両方から見ていきましょう。

・大きいピックを使う

最も簡単な方法は、大きいサイズのピックを使うことです。

ピックが大きければ、指で押さえた時の安定感が増します。

例えば、「ティアドロップ型」を使っている方であれば、「オニギリ型」に変更してみる、「オニギリ型」を使っている方であれば、ベーシストが良く使う「三角型」を使うなどが考えられます。

ただし、当然慣れないピックに変えると弾きにくくなるので、ある程度の慣れが必要になると思います。

・滑り止め加工されたピックを使う

次に考えられるのは、普段自分が使っているピックと同じ形状の、「滑り止め加工がされたピック」を使用することです。

楽器屋のピック・コーナーを覗いてみると、ピックの中心に滑り止め加工がされた物も多く置いているので、すぐに見つけられます。

いくつかのメーカーから販売されていますので、ネットで検索してもたくさん見つかると思います。

全く同じものがなく、あるいは愛着があるのでピックを変えたくない、という方は、ピックに貼り付ける「滑り止めシール」を使用してみても良いでしょう。

ただし、使用頻度が高く、あまり経済的ではないかもしれません。

普段ピックを握る位置に、カッター等で切り込みをいくつか入れてみる方法もあります。

それだけも滑りにくくはなります。

以上が物理的な対策の紹介になります。次は技術面での対策になります。

・ピックを弦に対し浅く当てるようにする

握ったピックがズレないようにする弾き方は、「ピックを弦に対して浅く当てるようにする」ということです。

ピックを弦に対して深く当ててしまうと、アップ・ピッキングの際に弦の抵抗が大きくなり、その分ピックに跳ね返ってくるため、握っているピックがズレやすくなります。

また、深いピッキングはリズムのズレや、アタックの粒立ちがバラバラになりがちだったり、弦が切れやすくもあるので、「ピックを弦に対して浅く当てるようにする」技術は習得しておきましょう。

・ピックの重心を持つようにする

意外と知られていない、意識されていないのが、「ピックの重心を持つようにする」ということです。

まず、机など平行面ボールペンを横にして、その上にピックを乗せてみてください。

そして、ピックがボールペンから落ちない位置を探します。

その位置が、ピックの重心の位置になります。

その重心をしっかり(力を入れ過ぎないように)持つと、ピックがズレにくくなります。

物理的な内容でもありますが、弾いている時にピックの重心を持つことを意識してみてください。

・ピックを軽く持つようにする

不思議なものですが、ピックを強く握れば握るほど、指からズレやすくなってしまうものです。

原因は、緊張感による汗だったり、指や腕の柔軟性がなくなって引っかかりやすい、などが考えられると思います。

そこで、上記に挙げたようにピックの重心を、意識的に軽く持つようにします。

そうすることで、汗をかきにくくなるのと、ピッキングの時に不自然な力がかかってしまうのを防ぎましょう。

ボールを投げる時に、力いっぱい投げるとコントロールが効かず、思った位置に行かないということがありますが、それと同じ、と考えてください。

ピックを持っている手と反対の手で、ピックを上下に動かしてみてください。

それで動かないようだと握り過ぎなので、力を緩めましょう。

特にカッティングをする時には、弦を撫でるくらいのイメージで軽く持つと、ちょうど良い程度の力です。。

最初は慣れないと思いますが、力を抜くことを意識して練習しましょう。

・それでもピックがずれてしまった時はどうすればいいのか

ここまで挙げたような対策をしても、ピックがズレてしまった場合はどうしたら良いのでしょうか。

もちろん弾きながら直せるのか一番なのですが、なかなか上手く行かない場合もあります。

私の場合は、ズレたピックをそのまま捨てて、新しいピックに切り替えて持つようにしています。

私は、マイクスタンドにピックを取り付けることが出来る、「マイクスタンド用ピック・ホルダー」を使っています。

目の前にピックがあるので、捨てた場合でも短時間で新しいピックに持ち替えられるようにしています。

他の方法としては、ボディとピックガードの間に挟んだり、本体にピックホルダーを付けてるなどが一般的でしょうか。

それでも間に合わない場合、ライブであれば、直すタイミングが来るまでピックがズレたまま弾くしかありません。

また、ピックを取り替えるまでに時間がかかりそうな場合も想定して、普段はピックでしか弾かない人も、多少は指弾きが出来るようにしておいた方が良いかもしれません。

また、ライブのステージは暗い会場が多いです。

ピックを落としてしまうと、見つけるのが難しい場合のあります。

ギター・アンプやエフェクター・ボードに、予備のピックを準備しておくと良いでしょう。

また、ピックがズレたままでも、ある程度弾けるようにしておくと、あわてないで済むと思います。

このように割り切るには、やはりライブなどの実戦経験が必要かもしれません。

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