ギターのコード・チェンジで音が鳴る時のコツ。

ギターを始めて、1つ1つのコードの音が鳴らせるようになると、次は楽曲を弾きたくなってきます。

コードが鳴らせるようになったら、次はコードとコードを繋いでいく練習が必要になります。楽曲を弾けるようになるには、1つのコードを鳴らすだけではなく、当然色々なコードを進行させていく必要があります。

ですが、初心者のうちは、コードが変更するタイミング=コード・チェンジが非常に難しく感じるでしょう。

プロでもコード・チェンジにはクセが出たり、難しいと言われています。

次のコードへ移る際、弦から指を離す時に音が出たり、目的以外の音が鳴ってしまったり、または意識するあまりにリズムがずれる、ということもあります。

そうすると、コードとコードのつなぎ目に不要な「隙間」が生まれてしまいます。

このような細かい点を改善することで、ギター・プレイはグッと上達します。

ギターのコード・チェンジで音が鳴る時のコツ。

まず、コード・チェンジをスムーズに行うために、最も優先すべきことは、リズムをキープし続けることです。

不思議ですが、ミス・トーンよりも、リズムが保たれている方が、聴いている方は不自然に感じないものなのです。

その上で、最も多いコード・チェンジの悩みは、不要な音であるノイズが出てしまうことでしょう。

以下原因と対策を書いていきます。

ノイズの原因

まず、ノイズの原因となるのは、左手(運指を行う方の手)の指の動きがスムーズではなく、無駄な動きが多い、ということです。

コード・チェンジは瞬間的なので、まずは意識して、その原因を分析してみましょう。

勢いよく次のコードを押さえたり、前のコードの指を指板から離したりすることで、ハンマリング・オンやプリング・オフと同じ状態になり、その音が外れていれば、当然ノイズということになります。

もちろん、外れていなくて音楽的に自然に聴こえても、それは結果であって、もしスッキリとしたギターのコードの響きを目指すのであれば、やはり不要な音です。

対策としては、まず楽曲の展開を覚えて、その次にコード進行を全て頭の中に入れておくことが最低条件です。楽譜やタブ譜など、何も見ずにコードを弾けるようにしておいてください。

コード・チェンジを素早く行わなければならない、とプレッシャーに感じて、指に必要以上の力が入ってしまい、タイミングがずれる、指が他の弦に当たってしまう、などから、ノイズが出てしまうのです。

次に来るコードをイメージしながら、現在のコード弾く、これがスムーズにコードを進行させていくコツです。バタバタしないで、余裕を持ってチェンジしやすくなります。

コード・チェンジが苦手という人の多くは、次のコードを素早く押さえられないのではなく、前のコードを離すタイミングが遅い、と言えます。

まずは、多少のノイズには目をつぶって、次のコードを頭に描きながら、そしてリズムをキープし続けることを目指しましょう。

コード・チェンジでノイズを出さないコツ

前述まで何度か書きましたが、コード・チェンジをする時に、必要以上に力を入れないようにします。

ギターに慣れないうちは、1つのコードでもしっかり音が鳴らせない、ポジションを覚えていない、といった状況ですので、余計に意識したり力が入りがちになるものです。

ギターの練習を重ねていけば、多くのコードをどんどん覚えていきますし、コード・ヴォイシングのコツやポイントが自然と身についてきますが、近道は、初心者のうちから「力を入れ過ぎない」と言うことに注意してください。

楽曲によっては、リズミックだったりハードだったりすると、思わずコード・チェンジにも勢いを付けてしまいがちですが、それはストロークする右手だけにしておいてください。

ヴォイシングを担う手だけは、あくまで冷静にしっかりとリズム・キープを心がけましょう。

・ノイズを出さないためのコード・ヴォイシング

ここで、皆さんは、コード・ヴォイシングをどのように覚えているでしょうか?

最も効果的な覚え方は、

  1. ルート音と、コード構成音まで覚える。
  2. そのコードで押さえる指を決めてしまわない。

特に2番目は、コード・チェンジの際に重要になってきます。

どういうことかというと、ロー・コードのCからAmへ移る時を例にして説明します。

まず、2弦1フレットのC音と、4弦2フレットのE音はCとAmのどちらにも共通して入っている音ですので、この2つのポジションの指は離さないようにします。

そして5弦3フレットのC音を押さえている指を離して、素早く3弦2フレットのA音へ移動させます。

その指だけを動かすことを意識して、余計な意識をせずに、テンポに合わせるように移動させましょう。

「Cメジャー・コードを押さえるには、人差し指がこの位置、中指はこの位置、薬指は…」、などと決めてしまうと、このように最小限で合理的なコード・チェンジが難しくなりますので、コードは、ポジションだけをマークしておきます。

非常に細かいことなのですが、このようなケアや注意点をしっかり行えることが、上級者への道と言えます。ギターはある程度弾けるようになると、目に見えた上達が感じられなくなり、マンネリ化してしまいがちです。

自分のプレイに一層の磨きをかけるために、コード・ヴォイシングを見直してみましょう。

あえてノイズを出す

しかし、どうしてもすぐにノイズを出せないコード・チェンジが出来るようにはなりません。

何度も何度も練習を重ねて、経験を積まなければ上達しない部分でもあります。

そこで、今までと真逆なことを書きますが、「あえてノイズを出す」のが効果的だったりもします。

例えば、Aで4拍、拍のアタマだけ4分音符で弾いた後にC#mを弾く場合、Aは3拍目まで弾いた後に、4拍目は左手の指を全てギターから離して開放弦を鳴らし、そして次の拍のアタマでC#mを押さえます。

聴き手にとって4拍目は、コード音というよりリズム・キープのためのアクセントになり、弾いている方にすればコード・チェンジのための1拍分の余裕が生まれることになります。

ギターはコード楽器である以上にリズム楽器ですので、聴き手にはほとんど違和感を与えないはずです。

エレクトリック・ギターで歪ませた音色の場合は、ブラッシング・ミュートにすると、よりリズムが強調されると思います。

ブラッシング・ミュートでは、左手は軽く弦に触れているだけなので、移動させるのも割とスムーズに行えます。

この方法を使うことで、ただ開放弦を鳴らすより、さらにメリハリがつく演奏となります。

コードとコードの隙間をブラッシングで埋め、次のコードを変えることもできます。

実は、この奏法はかなりポピュラーで、国内外を問わずプロのギタリストでも多用していますので、じっくり聴いてみてください。

どうしてもコード・チェンジでノイズが出てしまう場合は、上記の方法を試してみて下さい。

ギターのコード・チェンジの練習法。難しいのはF?

続いて、ギターのコード・チェンジの練習方法について書いていきます。

Fコードなどのバレー・コードは難易度が比較的高いと思います。

これまでのおさらいですが、まず、コードのポジション移動は、和声学の和音の進行と同じです。次の音や展開を覚えていないと、曲の進行において自然な流れが作れなくなってしまいます。

もう一つ大事なことは、基本的には共通の音は動かさないようにします。

ですので、コード・チェンジをする時には、共通した指を使うことが何度もあります。

共通して使用する指を軸にして、コードチェンジを行うことで、スムーズな演奏が可能になります。

ポイントは、

  • 指の運び
  • 手首の使い方
  • 肘の使い方

となります。

指の運び

指の運びについては、前後2つのコード間で「どの指がどの弦を押さえているか」ということを考えると、共通して押弦することになる指が分かってきます。

・A→Dの移動

まずは、ロー・コードのAからDへの移動の場合です。ヴォイシングは、一般的な指の使い方です。

Aメジャー・コード

  • 1弦 開放
  • 2弦2フレット 薬指
  • 3弦2フレット 中指
  • 4弦2フレット 人差し指
  • 5弦 開放
  • 6弦 ミュート

Dメジャー・コード

  • 1弦2フレット 中指
  • 2弦3フレット 薬指
  • 3弦2フレット 人差し指
  • 4弦 開放
  • 5弦 ミュート
  • 6弦 ミュート

ここでは、全く同じポジションが3弦2フレットですが、同じ指で押さえ続けることは難しいです。

そこで、両コードともに2弦を薬指で押さえている点に注目し、薬指をブリッジ側へ1フレット分スライドさせる意識を持つと、全体のコード・チェンジがスムーズになります。

全ての指をいったん離してしまうと、次のヴォイシングを瞬間的に見失ってしまうことがありますので、常に動かしやすいという点に着目しましょう。

全く共通音や近似音がない場合には、全ての指を離すしかないのですが、そのようなコード進行は、音楽的にもスムーズな音の流れにはなっていないため、出てくることは稀です。

・C→Gの移動

次は、ロー・コードのCからGへの移動の場合です。

Cメジャー・コードは、

  • 1弦 開放
  • 2弦1フレット 人差し指
  • 3弦 開放
  • 4弦2フレット 中指
  • 5弦3フレット 薬指
  • 6弦 ミュート

Gメジャー・コードは、

  • 1弦3フレット 小指
  • 2弦 開放
  • 3弦 開放
  • 4弦 開放
  • 5弦2フレット 中指
  • 6弦3フレット 薬指

この場合には、中指と薬指が同じフレットなので、今度は縦の動きを意識します。

左手首と肘を使って、手のひらを上にずらす感じにすると、4弦に指が掛からずの開放が綺麗に鳴ってくれます。

また、Cコードを鳴らす場合には1弦の開放弦が綺麗に鳴っていると、響きが美しくなります。

(トップがE音で、コードの3度の音です)

余談ですが、Gメジャー・コードの2弦3フレットを薬指で押弦して、5弦2フレットを人差し指、6弦3フレットを中指で押弦するヴォイシングもあります。

The BeatlesのGeorge Harrison以下、ブリティッシュ・ロックでよく使われるヴォイシングですが、次のコードの関係上、このように押さえる指をフレキシブルに変えていく練習もしておくと良いでしょう。

Fコードは難しい?

Fメジャー・コードは、一般的には「バレー・コード」と呼ばれ、人差し指で6弦から1弦まで全ての弦を押弦するフォームを使います。

そのため、初心者がFメジャー・コードの音をしっかり出すのは、相当の練習が必要になりますが、Fが鳴らせるようになると、今度は、コード進行中で自然に鳴らせる技術が要求されるようになります。

Fコードへの移動は、そのフォームから考えても、親指の位置が移動するケースが多いと言えます。

・C→Fの移動

例としてローコードのCからFへ移動する場合ですが、この場合にも裏の親指の位置がネック裏の上から真ん中に移動します。

Cメジャー・コードは、

  • 1弦 開放
  • 2弦1フレット 人差し指
  • 3弦 開放
  • 4弦2フレット 中指
  • 5弦3フレット 薬指
  • 6弦 ミュート

Fメジャー・コードは、

  • 1弦1フレット 人差し指(2弦6弦とセーハ)
  • 2弦1フレット 人差し指
  • 3弦2フレット 中指
  • 4弦3フレット 小指
  • 5弦3フレット 薬指
  • 6弦1フレット 人差し指

この場合には、5弦の薬指が共通していますので、そのまま押弦を続けておきます。

そして、中指は下に移動するだけで、小指は薬指に付ける感じで4弦を押さえます。

問題は人差し指の移動ですが、親指の軸をネックの裏側で移動させつつ、人差し指を6弦から被せていくイメージで移動させると、スムーズに動かせると思います。

・最後に

まずはコード・ヴォイシングを覚えて、それぞれしっかりと鳴らせる(特にバレー・コード)ようにすることから始めましょう。

そして一般的な押弦の指づかいを覚えたら、今度はそれに囚われることなく、2、3の押さえ方も身につけておきます。

次に来るコードを常に把握しておくこと、そしてたとえミスをしても、リズムはしっかりとキープしてください。

このような練習をずっと続けていくと、言葉では上手く説明出来なくても、徐々にコツのようなものが掴めてくるはずです。

その際に、ここで書いた内容を参考に練習していただければ、さらにコード・チェンジが上手く聴かせられるようになります。

コード・チェンジを上手く聴かせるというのは、本当に何気ないプレイです。プロの演奏を聴いてみると、自然にギターを弾いているように聴こえますが、アマチュアとの決定的な違いは、このような細部に至るまでの修正能力だと思います。

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