ギブソンSGの魅力とは?

Gibson SGは、Les Paul氏とのエンドース契約によって制作されたギター「Gibson Les Paul」が終了したため、その後継の機種として制作されました。

Gibsonのソリッド・ボディのモデルの中では、唯一、発売当初から生産中止のされたことのないギターです。

SGはLes Paulに比べてとても軽く、薄いギターです。サウンドは、中低域に特徴があり、粘りがあって荒々しさがあり、「UKっぽい」と言われたりします。

派生機種としては、Custom、Standerd、Special、Juniorなどがあります。

海外だけでなく、日本のアーティストにも愛用者が多いSG。

今回はSGの魅力を書いていきます。

SGスペック

・SG発表まで

1961年の発売当時は「Les Paul」という機種でした。形はSGですが、名称が「Les Paul」だったのです。

ところが、Les Paul氏がこのギターを気に入らなかったため、Gibsonとの契約は終了します。

「Les Paul」を使えなくなったGibsonは、この新しいギターに「SG」と名付けました。SGとはSolid Guitarの略と言われています。

ちなみに現在のLes Paulは、GibsonがLes Paul氏と再契約したことで、再びLes Paulとなり現在に至っています。

・SGのスペック

SG発売当初は、カブトムシのようなダブル・カッタウェイのソリッド・ボディに、2ピックアップ(フロント、リア)にPAFをマウントしている、Gisonの定番仕様でした。

Les Paulがメイプル、マホガニーと言った異なる材をパーツごとに使用して、低音域から高音域まで伸びやかなサウンドが出せるのですが、これに対してSGはマホガニーのみで製作されています。

ボディが軽くソリッドであるため、アタックが若干弱くてサステインも不利なのですが、ギターらしい中音域に特徴があり、クリアで歪みとの相性が良いサウンドになっています。

1961年から1963年に製造された機種には、サイドウェイ・アームというものが標準装備されていました。

これは重さとメインテナンスの大変さという欠点があり、マエストロ・ヴァイブローラ・ユニットに変更されます。

また、ビグスビー・トゥルー・ヴィブラートを装備したモデルもあります。

SGのイメージを決定付けているダブルカッタウェイのボディ・スタイルは、ハイポジション域の弾きやすさに貢献しています。

Gibsonのギターによく言われるネックの強度の弱さは、やはりSGも例外ではないので、特にネックの扱いには注意してください。例え修理しても、音が変わってしまう可能性もあります。

・SG愛用者

ロック好きであれば、まず浮かぶのは2人、The WhoのPete TownshentとCream時代のEric Claptonです。

Pete Townshentがツナギを着てSGを抱え、ジャンプしている姿は、多くのリスナーの心に残っています。

そしてアフロ・ヘアーとサイケデリックな衣装のEric Claptonが、Cream時代にウーマン・トーンで「Sunshine Of Your Love」のリフを弾いている画像も、当時は衝撃的でした。

他にBlack SabbathのTony Iommi、Carlos Santana、Allman Brothers BandのDickey Betts、そしてFrank ZappaなどがSG愛用者として知られていまs。

現在ではAC/DCのAngus Young、日本ではゆらゆら帝国に在籍していた坂本慎太郎氏や人間椅子の和嶋慎司氏といった個性的なギタリストが愛用しています。

SGの魅力

・ボディ・スタイル

ここまで何度か書いてきましたが、SGの最大の特徴はダブル・カッタウェイのボディ・スタイルです。

この形のため、ハイポジションが弾きやすく、使いやすいというギタリストは多いです。

最終フレットまでカッタウェイが入っているというギターはあまりありません。

ボディもソリッドで薄いため、Les Paulと比較しても、ハイポジションの使いやすさはSGにあると思います。

ただし、ネックとボディの重量バランスはあまり良くなく、ストラップを付けて立つと、いわゆる「ヘッド落ち」になってしまいます。弾きにくくなってしまいますが、そもそも全体的な重量がそれほどないので、慣れてしまえばあまり気にならないでしょう。

特に、カッタウェイのカットされた部分は、現在のルーターで削り出してく工程とは違い、すべて手作業で行われているため、厳密には1つとして同じものはありません。

ネックも薄くて握りやすく、運指がスムーズに行えます。

・軽さ

SGは基本的にマホガニーが使われており、Les Paulのトップに使われていたハードロック・メイプルではなくなっていますので、ギターの重量ははるかに軽くなっています。

重いLes PaulからSGに持ち変えると、格段に弾きやすく感じるはずです。

ギターが軽いと、当然操作性が良くなります。

またギタリストにありがちな、肩凝りも軽減されるでしょう。

・サウンド

Les Paulから、メインの材がマホガニーとなったため、低音域が弱くなっています。

しかし、マホガニーの単板で作られており、ソリッドになったボディからは、SG独特のサウンドが生み出されます。

ハムバッカーではありますが、軽くて乾いたサウンドで、中音域が強くて粘りがあり、音抜けも良い印象です。

リフやリズムに向いているかもしれません。

Pete Townshentは、ヴォリュームを絞った時にクリアなトーンでアルペジオを奏で、ヴォリュームを上げていくとハードに歪む、というセッティングでしたが、SGの魅力を良く感じられるので、ぜひ聴いてみてください。

また、オール・マホガニーとハムバッカー由来の温かみのあるサウンドも出せます。

パワフルで歯切れが良く、通常のロックからヘヴィな音楽まで、幅広く対応出来るギターで、愛用者が多いのもうなずけます。

楽器店でSGを見かけたら、とりあえず数本は試奏してみましょう。

Gibson Les Paul Customの評価は?

Fender Stratocasterに並ぶ支持があり、各年代ごとに様々な機種があるGibson Les Paul。

エレクトリック・ギターの代名詞と言っても過言ではないのでしょうか。

最も一般的なLes Paul Standerdの次に人気があるのがLes Paul Customでしょう。

Customは1954年、Standerdの2年後に誕生しました。

Standerdとの違いは、高級感を演出している多層バインディングと白蝶貝のインレイ、そして各ゴールドパーツの使用等が挙げられます。

これらは、ギターが、単なる楽器以上の魅力を持っているということを表現しており、コレクターの人気も高いです。

特に「Black Beauty」と呼ばれる機種は、その名の通りとても美しいギターです。

機能性もより重視されており、Tyne O Maticと、ストップ・テイルピースは標準仕様になっています。

一番の違いは、ボディ材がマホガニーの1ピースで、Standerdのようにメイプル・トップではない点です。

しかし、1968年から再生産されたCustomの機種では、トップの材にメイプルが使われています。

Les Paul Customの遷移

Les Paulは、1952年にGibsonから発売されました。

早くも2年後にはCustomが製作され、ピックアップも改良が加えられています。

フロントにはアルニコV、リアにはGibsonのセールス・ポイントと言えるP-90が搭載されています。

1957年には開発かれたばかりのハムバッカーに変更され、フロント、ミッド、リアの3ピックアップ仕様となりました。

その後Les Paulは人気が落ちて製造中止した時期もありましたが(ちなみに大幅変更を加え製作された「Les Paul」が、現在のSGです。)、後述するように人気が再燃し、現在まで再生産されています。

再生産が開始された1968年からは、ボディのトップ材にメイプルが使用され、ピックアップはハムバッカー2機が標準になりました。

1969年にはヘッドが大型化され、ネックは1ピースから3ピース仕様へ変更されます。

この2年に生産されたLes Paul Customは非常に人気が高く、当時ロック・シーンの中心だったハードなサウンドに向いており、多くのギタリストが使用していました。

日本のミュージシャンでは、鮎川誠氏のLes Paul、と言えばすぐイメージされると思います。

68年、69年のLes Paul Customの人気の理由

先述の通り、1961年にLes Paulは製造中止となります。

そこでGibsonはLes Paul氏に新たな「Les Paul」を提案したのですが、Les Paul氏に拒否されてしまいました。

「Les Paul」の名が外れたその機種は、名称を変更して発売されますが、それが現在のGibson SGです。

同時に、この時期のGibsonは、近未来的なデザインのボディを持ったギターを次々と発表していきました。

FirebirdやFlying V、Explorerなどですが、どれもヒットはしませんでした。

Gibsonにとって、転機となったのが1968年です。

今では想像できませんが、すでに名声を得ておりBluesbreakersを抜けたばかりのEric Claptonが、Les Paulを抱えて大型のアンプから大音量によるブルース・リフを刻んでいました。

Creamというスーパー・バンドで、ClaptonはLes Paul + Marshallでウーマン・トーンと呼ばれる新しいサウンドを開拓し、ハード/ヘヴィの先駆けとなっていきました。

そのClaptonらの影響は非常に大きく、GibsonはLes Paul氏と再契約にこぎつけ、以前のLes Paulを再生産したのです。

ところが、再生産されたLes Paul Standerdは、1955年型を踏襲したスペックで、ピックアップはP-90が搭載されていました。

一方で、再生産のLes Paul Customは、ボディ・トップがメイプル、バックがマホガニー、ピックアップはハムバッカーを2つ搭載で、指板がエボニーという点以外は(以前のStanderdはローズウッド)、人気のあった1957年~1959年製StanderdとCustomが逆になった仕様でした。

これはなぜか、というと、当時のClaptonのLes Paul Standerd + Marshallの組み合わせから生まれるサウンドは、Les Paul Custom + Marshallで出す事が出来た、という訳です。

1968年製または1969年製のLes Paul Customは、以後数多くのギタリストに高い評価を受け、ロックと歴史を共にしてきた、と言えるギターになっていきます。

1970年以降のLes Paul Custom

1970年以降のLes Paul Customは、仕様が変更されていきますが、逆にそれと共に人気も落ちていってしまいます。

そして、アッセンブリーでも重量が増しています。

サウンド・キャラクターも、1968年製や1969年製とは変わってしまったと言われています。

締まりがあって決して悪い音ではないのですが、やはり比較されると厳しいのかもしれません。

結局Gibson Les Paul Customのヴィンテージは、通常言われる「ヴィンテージ・ギター」の年代とはズレてしまい、1968年製もしくは1968年製を指すものとなってしまい、価格も150~200万くらいの相場で、手に触れる事すら難しい現状になっています。

特にJimmy PageがLed Zeppelin時代に使っていたような、3ピックアップの「Black Beauty」となると、さらに希少性が高くなるでしょう。

Gibson Les Paul Studio 2017、2016の評判は?

Les Paul Studioは、Standerdの仕様からサウンドに影響しないバインディング等の装飾を外し、また木材もグレードを抑えることで、Standerdのカラーをなるべく保ったまま、コスト・ダウンを図ったモデルになります。

1980年代から製作が始まったようですが、大量に日本に入って来たのは1990年代です。当時は円高という事もあって、海外のギターはかなり安かったのですが、その中でも、Studioは10万円を切るGibson Les Paulという事で、かなり流通したようです。

当時は、通常版に加えて、ピックアップがハイ・ゲインのものに変更されたLes Paul Studio Liteもありましたが、現在は廃盤になっています。

また、オール・メイプル仕様のRaw Power、オール・マホガニー仕様のJapan Limited Runも製作されていました。

Les Paul Studio 2016

ここまでLes Paul Studioについて書いてきましたが、2016年版のLes Paul Studioは何と全部で8種類も発売されました。

  • Les Paul Studio 2016T
  • Les Paul Studio 2016HP
  • Les Paul Studio Faded 2016T
  • Les Paul Studio Faded 2016HP
  • Les Paul ’50s Tribute 2016T
  • Les Paul ’50s Tribute 2016HP
  • Les Paul ’60s Tribute 2016T
  • Les Paul ’60s Tribute 2016HP

モデル名の「2016」の後ろに付いているアルファベットで、グレードが違うようになっています。

  • 2016T クルーソン・タイプのペグや、インレイがアクリル等、それまでのLes Paul Studioの仕様に準拠したものです。
  • 2016HP 自動チューニング・システムを搭載、インレイは真珠貝を使用し、コイルタップ(ハムバッカーからシングルコイルに切り替えられる機能)の設定等も出来るように、現代のGibsonの最新技術が使われています。

この中で、個人的にオススメしたい機種は、Les Paul Studio Faded 2016Tです。

オーソドックスな仕様(コイルタップは不可)とサウンドに加え、価格がかなり抑えられており、StanderdやCustomに特に思い入れがない方であれば、全く問題なく使えると思います。

逆に、これまでとは違った斬新なLes Paulを求めている方には、グレードの高い木材が使用され、多くの機能を有しているLes Paul ’50s Tribute 2016HPやLes Paul ’60s Tribute 2016HP辺りの、革新的な機種をオススメします。

Les Paul Studio 2017

2016年とは打って変わって、2017年製のLes Paul Studioは、「Les Paul Studio 2017T」の1種類しか製造されていません。

なぜなら、Gibsonは2017年から廉価版のギター「Sシリーズ」をスタートしましたので、廉価版のLes Paulラインナップの数を抑えたからだと思われます。

2016年のTモデル同様に、自動チューニング・マシンは搭載されておらず、「ウルトラモダン・ウエイトリリーフ」という新設計のチェンバー・ボディを使用しており軽量化をはかっています。

また、コイルタップ機能も搭載されていますので、サウンド・ヴァリエーションの幅も広いと言えます。

2016Tと比較して試奏してみると、軽いせいか、とても弾きやすく感じます。

ただし、サウンドに大きな差はありません。

Les Paul Studioは、サウンドや見た目などがLes Paulとほとんど差異がなく、価格を抑えたモデルになっており、低価格で本物の音に近づくことが出来ます。

ヴィンテージに対する強いこだわりがなく、機能性・価格帯重視という方は、ぜひ検討してみてください。